編集フォーム
宮田賀奈子
一人殺せば早いもので、彼は知力と度胸、何としてでも大金を
手に入れて家族に残すという決意と、一見邪魔ばかりする
出来の悪いジェシーの、土壇場で機転がきく長所もあり、
短期間のうちに危険地帯の一部を自分達のシマにしてしまいます。
いくら貧乏人相手の商売とはいえ、純度が高ければ売れるもの。
やがて義弟でDEAでもあるハンクは新手の作り手(ウォルター)の
存在を疑い、その操作に執念を燃やします。一方、大手の売人は
多くの情報を得ていました。当然快くないので、ジェシーの売人
仲間が一人、殺されてしまいます。このあたりから、本気で悲しみ
怖がるジェシーと、それでも密造し、手を広げることをやめようと
しないウォルターが対照的になっていきます。それがとてもイイ。
紆余曲折を経たのちにこの地域のボスであるガスという男が
用意したハイテクラボでメスを作ることになったウォルターは、
ガスのありジェシーとのコンビを一旦解消します。
ジェシーはその頃、元ヘロイン常習者だったジェーンと出会い、恋に落ちていました。
大切な取引の日にヘロインとメスの混合物に酔ってへべれけに
なっているジェシーの家に押し入ったウォルター、ジェシーから
メスの隠し場所を訊き出して何とか取引を成立させます。
しかしジェーンは今後自分達、特にジェシーの足かせになると
感じたウォルターは、ドラッグに悪酔いしたジェーンが仰向けで
眠ったまま嘔吐物を喉に詰まらせる現場に遭遇するも、放置します。
ジェーンの隣ではジェシーがやはり酔っていましたが、死の危険は
ありません。ジェーンを起こして、起こさずとも、顔を横向きにして
やれば彼女は死なずにすみました。ウォルターは泣きながら、
一度はジェーンを助けようとしますが、結局は手を引っ込めます。
そしてそっとその場を去ってしまうのです。
翌朝、目覚めたジェシーは死んでしまったジェーンを蘇生しようと
必死で心臓マッサージ等を試みますが、時すでに遅し。
死体以外の証拠物の処理と、当面の対処方法を悪党仲間が
ジェシーに教え込みます。ジェシーは言われるまま対応し、
愛する人の死体は彼女の父親と共に運ばれました。
ジェーンの父は航空管制官であり、娘の死後からあまり経たずして
職場復帰します。そして、その日のうちに大変なミスを犯します。
飛行機が二機、主人公達が住む町の上空で衝突してしまうのです。
ウォルターがジェーンを見殺しにしたとは知らないジェシー、
恋人の死は自分の不注意であり、更生しかかっていたジェーンを
再びドラッグ漬けの日々に引きずり戻したのは自分であり、
愛娘が悲惨な死に方をしたので父親は精神にダメージを負って
航空事故を起こしてしまった、悪いのは自分だ、自分は悪人だと
思うようになります。更生施設のプログラムをこなしていくごとに、
ジェシーは、自分の生きる道は悪の道しかないと思い込みます。
しかしガスは徹底したプロでした。非常に純度の高いメスを作る
男・ウォルターを当初取引をしなかった理由のひとつがジェシーの
いい加減さでした。ジェシーはガスと会うという日にもドラッグを
吸引しており、ハイな状態で挙動不審、そんなジャンキーを相棒と
しているウォルターも信用できないと明言していたのです。
でもそこはプロ、恋人を失ったジェシーが自棄になっていながらも
悪の心が芽生えつつあるのを見抜き、片腕ともいえる男・マックスを
使ってジェシーに組織での手柄をあげさせます。ガスの企みとは
気付きもしないジェシー、小物なりの自負心を得て、マックスや
ガスを少しずつ信頼し、憧れに似た気持ちを抱くようになります。
さて、ジェシーの代わりにガスが用意してくれた助手は、性格が
完璧にオタクでした。ウォルターを天才とあがめ、悪事を働くのに、
ラボノートなるもの(後にDEAの手に渡り、ハンクの捜査に多くの
ヒントを与えてしまいます)を書いて、あろうことかそれを自宅に
持っていってしまう、悪人になりきれない、小物の中の小物でした。
ノートを自宅に持ち帰っていると知らなくても、とにかくウマが
合わないため、ウォルターはジェシーを再び自分の助手にして
ほしいとガスに頼みます。ガスは受け入れるものの、ある日、
ある事がきっかけになって、ウォルターとジェシー、マックスの
目の前で、部下の一人をカッターナイフであっさり殺害します。
ガスの表の顔はフライドチキンのチェーン店と、クリーニング業の
オーナーでした。いつもスーツをそつなく着こなし、表の商品の
品質管理にも手を抜かず、大柄でもない、きちんとした男です。
そのきちんとした男が、頸動脈を切ったらどれほどの血を浴びる
ことになるのか初めから予測していたかのようにラボで作業着に
着替え、眼鏡を外し、一切のためらいなく部下を殺す様子は
実に見事でした。裏家業のために殺す。しかし自分には表の
仕事もあるし、表も裏も仲間にはそれぞれの仕事が待っている。
だからさっさと殺したのだという、ウォルターや、ましてジェシーには
到底思いもつかない、凄まじいプロ根性を垣間見せる場面でした。
マックスは面倒が増えたと思い、ジェシーは恐怖し、ウォルターは
うろたえます。死体を溶かして始末してからも、ウォルターの中に、
純度にさえこだわらなければメスは誰にでも作れる、もともとは
チンピラが作っていたのだ、何度も一緒に精製しているジェシーは
ある程度一人で作業ができるようになっているはずだし、治療の
かいあってがんもほとんど小さくなって当分延命できる今になって
死にたくない、娘の成長を見たい、もっと金がほしい、生きたい!
自らの領分をこえたと判断したら簡単に部下をカッターナイフで
殺す男が恐ろしい。あいつを殺さなければ自分が殺されてしまう。
そんなことは許せない、何のために危ない橋を渡り続けてきた、
すべて家族に金を残す、不自由なく暮らせるようにするために
してきたことが無駄になる。そんなことは許せない、絶対に。
ガス殺し以外に道はないと決めたウォルターは、ジェシーに
協力させてガスを殺す決意を固めます。
しかし、本物のボスはガスだと思うようになっていたジェシーは
ためらいます。そこでウォルターは、卑劣だけれど確実ジェシーが
動くであろうという、とんでもない手段を思い付きます。
手に入れて家族に残すという決意と、一見邪魔ばかりする
出来の悪いジェシーの、土壇場で機転がきく長所もあり、
短期間のうちに危険地帯の一部を自分達のシマにしてしまいます。
いくら貧乏人相手の商売とはいえ、純度が高ければ売れるもの。
やがて義弟でDEAでもあるハンクは新手の作り手(ウォルター)の
存在を疑い、その操作に執念を燃やします。一方、大手の売人は
多くの情報を得ていました。当然快くないので、ジェシーの売人
仲間が一人、殺されてしまいます。このあたりから、本気で悲しみ
怖がるジェシーと、それでも密造し、手を広げることをやめようと
しないウォルターが対照的になっていきます。それがとてもイイ。
紆余曲折を経たのちにこの地域のボスであるガスという男が
用意したハイテクラボでメスを作ることになったウォルターは、
ガスのありジェシーとのコンビを一旦解消します。
ジェシーはその頃、元ヘロイン常習者だったジェーンと出会い、恋に落ちていました。
大切な取引の日にヘロインとメスの混合物に酔ってへべれけに
なっているジェシーの家に押し入ったウォルター、ジェシーから
メスの隠し場所を訊き出して何とか取引を成立させます。
しかしジェーンは今後自分達、特にジェシーの足かせになると
感じたウォルターは、ドラッグに悪酔いしたジェーンが仰向けで
眠ったまま嘔吐物を喉に詰まらせる現場に遭遇するも、放置します。
ジェーンの隣ではジェシーがやはり酔っていましたが、死の危険は
ありません。ジェーンを起こして、起こさずとも、顔を横向きにして
やれば彼女は死なずにすみました。ウォルターは泣きながら、
一度はジェーンを助けようとしますが、結局は手を引っ込めます。
そしてそっとその場を去ってしまうのです。
翌朝、目覚めたジェシーは死んでしまったジェーンを蘇生しようと
必死で心臓マッサージ等を試みますが、時すでに遅し。
死体以外の証拠物の処理と、当面の対処方法を悪党仲間が
ジェシーに教え込みます。ジェシーは言われるまま対応し、
愛する人の死体は彼女の父親と共に運ばれました。
ジェーンの父は航空管制官であり、娘の死後からあまり経たずして
職場復帰します。そして、その日のうちに大変なミスを犯します。
飛行機が二機、主人公達が住む町の上空で衝突してしまうのです。
ウォルターがジェーンを見殺しにしたとは知らないジェシー、
恋人の死は自分の不注意であり、更生しかかっていたジェーンを
再びドラッグ漬けの日々に引きずり戻したのは自分であり、
愛娘が悲惨な死に方をしたので父親は精神にダメージを負って
航空事故を起こしてしまった、悪いのは自分だ、自分は悪人だと
思うようになります。更生施設のプログラムをこなしていくごとに、
ジェシーは、自分の生きる道は悪の道しかないと思い込みます。
しかしガスは徹底したプロでした。非常に純度の高いメスを作る
男・ウォルターを当初取引をしなかった理由のひとつがジェシーの
いい加減さでした。ジェシーはガスと会うという日にもドラッグを
吸引しており、ハイな状態で挙動不審、そんなジャンキーを相棒と
しているウォルターも信用できないと明言していたのです。
でもそこはプロ、恋人を失ったジェシーが自棄になっていながらも
悪の心が芽生えつつあるのを見抜き、片腕ともいえる男・マックスを
使ってジェシーに組織での手柄をあげさせます。ガスの企みとは
気付きもしないジェシー、小物なりの自負心を得て、マックスや
ガスを少しずつ信頼し、憧れに似た気持ちを抱くようになります。
さて、ジェシーの代わりにガスが用意してくれた助手は、性格が
完璧にオタクでした。ウォルターを天才とあがめ、悪事を働くのに、
ラボノートなるもの(後にDEAの手に渡り、ハンクの捜査に多くの
ヒントを与えてしまいます)を書いて、あろうことかそれを自宅に
持っていってしまう、悪人になりきれない、小物の中の小物でした。
ノートを自宅に持ち帰っていると知らなくても、とにかくウマが
合わないため、ウォルターはジェシーを再び自分の助手にして
ほしいとガスに頼みます。ガスは受け入れるものの、ある日、
ある事がきっかけになって、ウォルターとジェシー、マックスの
目の前で、部下の一人をカッターナイフであっさり殺害します。
ガスの表の顔はフライドチキンのチェーン店と、クリーニング業の
オーナーでした。いつもスーツをそつなく着こなし、表の商品の
品質管理にも手を抜かず、大柄でもない、きちんとした男です。
そのきちんとした男が、頸動脈を切ったらどれほどの血を浴びる
ことになるのか初めから予測していたかのようにラボで作業着に
着替え、眼鏡を外し、一切のためらいなく部下を殺す様子は
実に見事でした。裏家業のために殺す。しかし自分には表の
仕事もあるし、表も裏も仲間にはそれぞれの仕事が待っている。
だからさっさと殺したのだという、ウォルターや、ましてジェシーには
到底思いもつかない、凄まじいプロ根性を垣間見せる場面でした。
マックスは面倒が増えたと思い、ジェシーは恐怖し、ウォルターは
うろたえます。死体を溶かして始末してからも、ウォルターの中に、
純度にさえこだわらなければメスは誰にでも作れる、もともとは
チンピラが作っていたのだ、何度も一緒に精製しているジェシーは
ある程度一人で作業ができるようになっているはずだし、治療の
かいあってがんもほとんど小さくなって当分延命できる今になって
死にたくない、娘の成長を見たい、もっと金がほしい、生きたい!
自らの領分をこえたと判断したら簡単に部下をカッターナイフで
殺す男が恐ろしい。あいつを殺さなければ自分が殺されてしまう。
そんなことは許せない、何のために危ない橋を渡り続けてきた、
すべて家族に金を残す、不自由なく暮らせるようにするために
してきたことが無駄になる。そんなことは許せない、絶対に。
ガス殺し以外に道はないと決めたウォルターは、ジェシーに
協力させてガスを殺す決意を固めます。
しかし、本物のボスはガスだと思うようになっていたジェシーは
ためらいます。そこでウォルターは、卑劣だけれど確実ジェシーが
動くであろうという、とんでもない手段を思い付きます。